メディカル葵出版

眼内レンズを科学する

眼内レンズを科学する

編集 小原 喜隆(獨協医科大学 教授)
西 起史(西眼科病院 院長)
松島 博之(獨協医科大学 講師)
定価 9,900円(本体9,000円+税)
体裁 B5判 総140頁 写真・図・表 多数収録

白内障手術は紀元前から行われていたという.脳から濁った液が流れてたまったのが白内障だと考えられ,硝子体中に落下させる「倒下法」が行われた.近代に なって水晶体嚢内摘出術と嚢外摘出術の術式選択に論争が繰り返し行われた.現代に比べて手術機器のみならず術式も確立されていなかったが,何よりも手術結 果で不足したのが術後の視機能の不完全なことである.眼鏡やコンタクトレンズによる術後視力の矯正手段に問題があった.

やがて眼内レンズ挿入術が登場することとなる.術後のquality of visionの改善は目覚しいものであった.眼内レンズが高く評価され,現在のような小切開foldable眼内レンズ,着色レンズ,非球面レンズ,そし て調節性レンズの開発など今後も発展し続けるに違いない.しかし,新しい眼内レンズの開発や臨床成績に注意を傾けるあまり,眼内レンズについての基本的知 識を系統的に知る機会が少ないように思われる.眼内レンズのバイブルとなる専門書が刊行されていないことから,本書では基礎から臨床にわたって眼内レンズ を基本からしっかりと知るための手伝いが欲しいと思った次第である.

本書では,眼内レンズの歴史,視機能上の役割・利点,デザイン材質と特性,生体適合性,眼内レンズの作製法,減菌法,各種眼内レンズの特徴,眼内レンズ挿 入法,後発白内障,屈折矯正手術用眼内レンズ,多重手術と眼内レンズの観点から眼内レンズを12項目にわたって徹底的に科学的に分析した.各項目の担当者 として,各分野で造詣の深い第一線で活躍中の方々に執筆をお願いした.その結果,わかりやすい内容にまとめられているので,日常診療に役立つと確信してい る.本書が眼内レンズの百科辞典的存在として活用されることを期待している.

(序文より)


内容目次

I 眼内レンズの歴史
II 眼内レンズの視機能上の役割・利点
III 眼内レンズのデザイン、材質と特性
1.デザイン/2.材質/3.光学的特性/4.物理的特性
IV 眼内レンズと生体適合性
1.眼内レンズに対する生体反応と生体適合性/2.術後炎症反応/3.眼内レンズと水晶体上皮細胞の反応
V 眼内レンズ作製法
VI 眼内レンズ滅菌法
VII 眼内レンズと視機能
1.収差/2.コントラスト感度/3.グレア・ハロー/4.屈折度誤差/5.偽調節/6.色感覚/7.偏位/8.グリスニング/9.混濁(着色現象)10.網膜障害(光酸化)
VIII 各種眼内レンズの特徴
1.Foldable眼内レンズのいろいろ/2.多焦点眼内レンズ/3.Toric眼内レンズ/4.調節性眼内レンズ/5. 非球面眼内レンズ/6.極小切開用眼内レンズ/7.無虹彩用眼内レンズ/8.縫着用眼内レンズ/9.水晶体嚢拡張リング
IX 眼内レンズと挿入法
X 眼内レンズと後発白内障
1.後発白内障の解析法(PCO)/2.最近の眼内レンズと後発白内障/3.後発白内障の物理的・化学的抑制方法
XI 屈折手術用眼内レンズ
1.前房レンズ/2.後房レンズ
XII 多重手術と眼内レンズ
1.角膜移植同時手術とIOLの選択/2.緑内障手術と眼内レンズ/3.網膜硝子体手術と眼内レンズ/4.ぶどう膜炎と眼内レンズ


白内障手術は紀元前から行われていたという.脳から濁った液が流れてたまったのが白内障だと考えられ,硝子体中 に落下させる「倒下法」が行われた.近代になって水晶体嚢内摘出術と嚢外摘出術の術式選択に論争が繰り返し行われた.現代に比べて手術機器のみならず術式 も確立されていなかったが,何よりも手術結果で不足したのが術後の視機能の不完全なことである.眼鏡やコンタクトレンズによる術後視力の矯正手段に問題が あった.
やがて眼内レンズ挿入術が登場することとなる.術後のquality of visionの改善は目覚しいものであった.眼内レンズが高く評価され,現在のような小切開foldable眼内レンズ,着色レンズ,非球面レンズ,そし て調節性レンズの開発など今後も発展し続けるに違いない.しかし,新しい眼内レンズの開発や臨床成績に注意を傾けるあまり,眼内レンズについての基本的知 識を系統的に知る機会が少ないように思われる.眼内レンズのバイブルとなる専門書が刊行されていないことから,本書では基礎から臨床にわたって眼内レンズ を基本からしっかりと知るための手伝いが欲しいと思った次第である.
本書では,眼内レンズの歴史,視機能上の役割・利点,デザイン材質と特性,生体適合性,眼内レンズの作製法,減菌法,各種眼内レンズの特徴,眼内レンズ挿 入法,後発白内障,屈折矯正手術用眼内レンズ,多重手術と眼内レンズの観点から眼内レンズを12項目にわたって徹底的に科学的に分析した.各項目の担当者 として,各分野で造詣の深い第一線で活躍中の方々に執筆をお願いした.その結果,わかりやすい内容にまとめられているので,日常診療に役立つと確信してい る.本書が眼内レンズの百科辞典的存在として活用されることを期待している.      (序文より)