メディカル葵出版

眼科医療事故の法的責任

眼科医療事故の法的責任

眼科における医療事故紛争への対処を明解に示した眼科医必携の書!

著者 深谷 翼(明治大学講師・法学評論家)
定価 8,800円(本体8,000円+税)
体裁 A5判 上製本 総324頁

診療に携わる者にとって,最も不愉快なのはトラブルに巻き込まれることである.医師は常に患者にとって善かれと思って診療 しているのであるが,予想し得ない結果を招けば紛争となり,時には訴訟にまで発展してしまう.

医師に不注意がある一方で,不条理なことを要求する訳の分からぬ患者もいる.したがって,医師の方でもある程度の法的知 識を持って診療に当たらねばならない.眼科専門医認定試験でも社会・予防医学として例年出題されている.近年,医師ばかりでなく医療従事者の量産時代に 入っているから,相対的レベル低下をきたし,診療トラブルの増加に拍車がかかっている.そのような理由から,医療のリーダーである医師には監督責任も問わ れる機会が多くなりつつある.

深谷 翼氏は長らく医事紛争を専門としてこられた方で,臨床各科における雑誌に医事法関係の論文を多数発表され,これまで『医療関係者のための医療事故と法的責 任』,『最新事例に学ぶ医療訴訟対策』,『医療事故の法的基礎知識と医療訴訟最新判例解説集』といった成書を上梓されている.これらの書籍にも眼科関連の 症例の記載があるが,かつて私が編集した『眼科保健医療ガイド』でも「医事紛争とその防止」を分担執筆していただいた.

日常診療においてどのように患者に接したら良いか,医事紛争に関わらないためにどうするか,訴訟になってもどうしたら不利にならないかを知るには適切な本であり,眼科医に推薦したい一冊である.

<推薦のことば> 丸尾敏夫(帝京大学医療技術学部長)


内容目次

第1部 基礎知識編
I 眼科医療事故訴訟の現況
II 眼科医療事故と法的責任
III 眼科医療事故と民事責任(損害賠償責任)
1. 一般的不法行為/2. 特殊的不法行為/3. 債務不履行/4. 損害賠償責任/5. 眼科医療事故と解決方法
IV 眼科医療事故と刑事責任
1. 眼科医療事故と犯罪/2. 眼科医療事故と刑罰
第2部 事例編
I 問診・検査
1. 抗生物質注射による薬疹事故と医師の問診義務/2. 未熟児網膜症による視力障害と診療の適否
II 診断
1. 緑内障による失明と医師の責任の有無/2.多発性後極部網膜色素上皮症と/診療過誤の有無/3. 未熟児網膜症を白内障と誤診した医師の責任/4. 流行性角結膜炎患者の/角膜穿孔による失明と医師の責任/5. 角膜ヘルペスと診療過誤の有無
III 説明義務(インフォームド・コンセント)
1. 球結膜腫瘤手術と合併症に対する説明義務 /2. 糖尿病網膜症患者に対する硝子体手術と医師の説明義務/3. 検査結果と眼科医の告知説明義務の有無/4. RK手術(放射状角膜切開術)の/施行と事前告知(説明)義務
IV 治療
1.眼瞼下垂症に対する治療の適否/2.細菌性(緑膿菌性)角膜潰瘍と医師の治療上の過失/3. 右眼打撲症に対する処置の適否/4.未熟児網膜症による視力障害と治療責任/5. 内因性細菌性眼内炎に対する診療の適否/6. コンタクトレンズ装用による左眼損傷と医師の責任
V 薬剤
1. 糖尿病患者の角膜ヘルペスとステロイド薬の投与/2. ステロイド剤点眼薬投与とステロイド緑内障等の罹患の有無
VI 手術
1. 白内障等の手術後失明と医師の責任/2. 蓄膿症手術後の失明と眼科医の責任/3. 近視矯正のためのレーシック手術の適否/4. 角膜移植手術後の緑内障発症と医師の過失/5. 網膜剥離に対する緊急手術の要否
VII 術後(術前)管理
1. 緑膿菌感染による左眼失明と診療過誤の有無/2. 術後眼内炎の発症と医師の過失
VIII 転医(送)・その他
1. 未熟児網膜症による失明と眼科医の責任/2.見習看護師の調剤ミスと眼科医の刑事責任
<資料> 日本弁護士連合会報酬等基準