メディカル葵出版

中心性漿液性脈絡網膜症

中心性漿液性脈絡網膜症 Central Serous Chorioretinopathy:CSC

CSCに関する国内外の1,000件を超える文献をあますところなく紹介した多年の集大成!

著者 戸張 幾生(東邦大学 名誉教授)
定価 18,700円(本体17,000円+税)
体裁 A4変型 総124頁 カラー写真 多数収録

中心性漿液性脈絡網膜症(central serous chorioretinopathy:CSC)は,現在使用されている正式な病名である.1866年von Graefeが“Central rezidivierende Retinitis”の病名で発表して以来,今日まで実に多くの病名が使用されてきた.その理由は本疾患の原因がはっきりしていないからである.本症は網 膜と脈絡膜の疾患であり,現在は病因の主座は脈絡膜にあると考えられている.網膜の障害は2次的に起こるとされており,脈絡網膜症 (chorioretinopathy)が使用されている所以である.しかし,なお原因は不明であり,さまざまなrisk factorが指摘されている.

中心性漿液性脈絡網膜症は1965年に蛍光眼底造影検査が開発される以前には,黄斑病変や中心暗点をきたす種々の疾患の一部が,いわゆる“中心性網膜 炎”として報告されてきた可能性を否定できない.また,適切な治療法もなかったのである.蛍光眼底造影検査と光凝固治療が1960年代後半から発展し,本 症の診断が確立され,治療手段も発展した.

本書は,1965年以降今日まで発表された約1,000件を超える論文を,ほぼ年代順に記載し,中心性漿液性脈絡網膜症の診断と治療が過去約50年間に いかに発展してきたかを総覧したものである.本疾患は網脈絡膜のみの疾患ではなく,全身疾患との関連が今日まで報告された論文から多く読みとることができ る.本書が臨床にたずさわる諸兄の今後の研究の参考になれば幸甚である.

(序文より)


内容目次

I 病因・病理・統計
1.病名と病因論(病名/病因論)/2.疫学・統計(疫学/統計)/3.病理組織/4.病因(脈絡膜循環障害/精神心因的状態とCSC/カテコールアミン)
II 臨床所見
1.視力/2.自然経過,長期経過/3.色覚/4.視野と網膜感度/5.電気生理/6.網膜色素上皮剥離と黄斑外色素上皮萎縮巣/7.多発性後極部網膜色素上皮症,胞状網膜剥離,異型中心性脈絡網膜症,急性色素上皮炎
III 検査
1.蛍光眼底造影(法)/2.走査レーザー検眼鏡(SLO)/3.インドシアニングリーン蛍光眼底造影(法)/4.光干渉断層計(OCT)/5.眼底自発蛍光
IV 合併症,鑑別
1.合併症,鑑別/2.ステロイド/3.妊娠
V 治療
1.薬物/2.光凝固(西独キセノン光凝固/東独キセノン光凝固)/3.レーザー光凝固(ルビーレーザー/アルゴンレーザー/クリプトンレーザー/Nd-YAGレーザー/色素レーザー/マイクロパルスダイオードレーザー)/4.再発/5.光線力学治療(PDT)
VI 総説・解説